イラクサの棘
第27章 引力
いらっしゃい!!
おっ美人のお姉さん!!
イキのいいの入ってるよ!
お、そこの美男美女カップルさん!
見てって見てって、
ここの魚介類の鮮度は抜群だから!
「な、大丈夫だろ?
人目とか気にしなきゃ平気だって。」
「うん、びっくり。
なんか以外、俺って女顔なのかな?」
「どっちにしても潤が美形ってことだよ。
ほら、向こう見に行こうぜ。」
覗き込むように笑いかける翔さんが
俺の腰に手をまわすようにして歩きだす。
これってまるっきり恋人同士の歩き方だよ。
恥ずかしいけど、
堂々とエスコートしてくれる翔さんの隣にいると
いつのまにか楽しんでる自分もいてる。
味見してみてって
差し出される小魚や、スルメ
揚げたてのフグのから揚げを
めちゃくちゃ食いてぇなぁって悩む翔さんに
俺とじゃんけんして勝ったらにすれば?
って言うと
勢いよく出したじゃんけんは俺の圧勝!
最初は翔さんが
ギュッと手を握ってくれてたけど
気がついたら、指をからめる恋人繋ぎになっていた。