イラクサの棘
第27章 引力
ん?
道の片隅で泣きべそかいてる男の子がいる
あれって、
もしかして迷子かな?
「翔さん、あの子…迷子かな?」
「おお、ちょい声かけてやろっか。
おーいなんで泣いてんだ?」
ふぇふぇーーーん
うわぁーーんうわぁーーん
「ちょっとダメだよ、そんな言い方
怖がらせちゃうだけだから。
ボクどうしたの?パパかママはどこ?」
「あっちからきたの
まーくんどっかいっちゃったのぉ
とーちゃんはおさかなさんのところぉ」
ぐすんぐすんなみだをいっぱい
ながして泣きべそをかいてる
ハンカチで顔をふいてあげると
「おねーちゃんいいにおいするー」
「…っ…えっと…まあ…いっかな。」
安心したみたいでにっこりする
男の子相手に否定することもないかな。
隣で吹き出しながら笑いを堪えてる翔さん。
「おっし、じゃあ
おにいさんが肩車してやるから
まーくん探して見ろよ。」
「わーい、かたぐるますきーぃ」
迷子センターに行くまでの道のりを
翔さんが男の子を肩車しながら歩いていく。
「潤、俺の腕しっかり掴んでおけよ。」
「うん、大丈夫。
翔さんから離れたりしないよ。」