イラクサの棘
第27章 引力
「あっ、あきらぁーー
あきらぁーーー!!
やっぱりあきらだぁ、よかったぁ
どこ行ってたんだよぉ!
もう、ホントにびっくりしたんだからねっ」
背後の雑踏をかき分けながら
大声だして近づいきた青年。
額にはびっしょりの汗と泣きべそだった
瞳からは、見つけた安心感であふれ出す涙に
男の子をすっごく心配して探して
たんだってわかる。
「まーくん、あのねぇー
肩車してまーくんさがしてたの。
おにーちゃんとおねーちゃんがね
これ買ってくれたのぉ」
さっき露店で翔さんがチャレンジした
輪投げの景品のシャボン玉のセット
「そっかぁよかったね。
えっと、あの、ホントに本当に
ありがとうございました。
俺が、目を離したばっかりに
晶を迷子にさせちゃって…
肩車までして探しててくださって
ホントにご迷惑をおかけしました。」
「良かったです。
実は、声かけた時は驚かせてギャン泣き
されたけど、
俺ら仲良しになったもんなぁー」
「うん、おにーちゃんもね
4歳までオネショしてたんだって
あきらとおんなじいー」
「こーら、ダメでしょ?
晶、そんな事言ったら
えっと、あれ?
どこかで、見かけた?
あの…もしかしてテレビとか雑誌とかに
出てたりしませんか?」