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イラクサの棘

第4章 秘め事



ただ
不思議に思ったのは
結婚後も智兄がなんにも変わらないこと。



精一杯
夫として、父親として
頑張ろうとしてるひたむきな姿の中で
時折り見せる
どこか遠くを見つめる虚無感な眼差し。

幼い頃はぼんやりと
そんな目をする智兄がどこか遠くへ
行っちゃいそうで、そんな時俺は
むぎゅーっと抱きついて離れなかったんだ。



「智兄、お味噌汁よそってくれる?」

「おう、まかせとけ。」



智兄と晶と3人での食事


今年の春先に病棟の看護師の主任を任された姉ちゃん。
夜勤も頻繁にあり
膨大な業務に、勤怠調整
人事的な責任感も増えたらしく
いつも忙しなく分刻みに生きてる風に見える。

智兄と晶ともすれ違いの生活が続くことが
多くて、
その分を埋め合わせ
いや、この2人の日常生活をサポートしてくれと
頼まれている。



そしてそれとは別の姉弟2人だけの密約。




 

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