イラクサの棘
第29章 こことは違う場所
「おう、あんがとな雅紀。
でも、結局は俺と雅紀の2人で呑むことに
なると思うけどな?」
「クフフ、そうかもねー。」
「あ、アイスのおみせあったよー」
晶の指差してる方向に目をやると
露店が途切れて駐車場へと脇道があった。
何気に視線をやると
遠目でも目立ってるスタイルの良い2人がいる。
すこし目を細めてみてると
ピンク色の上着をきてる人物の首筋に
見えたホクロのようなものを見つけて衝撃が走った。
まさか!
こんなところに?!
わずかな瞬間、横顔しかみえなかった。
並んで歩く2人の繋いでいた手が離れて
腰に手をまわして周囲の人混みから大切に
守るように、潤の身体を抱きかかえるようにして
駐車場へと連れ立って歩いていく2人の後ろ姿。
「雅紀、ごめんっ
ちょっと晶のこと頼むわ!!」
「え?なに?ちょっと?
智兄どこ行くの?待ってよ。ねぇってば!!」
訳がわかんねえ衝動が身体を突き動かす。
走らなきゃ後悔するぞって
俺の内側の本能が命令をだしてるみたいだ。
訳の分からない、だが、確証に近い想い
あれは絶対に潤だ!!
間違いなく潤だっ
俺の潤に間違いない
潤、待ってくれ
潤、行かないでくれ!!
人混みに行手を邪魔される。
上手くすり抜けられなくて
ぶつかりながら2人の方向へと進んで行った。