イラクサの棘
第31章 帰路
智side
「ふーん、どうなんだろう。
でも、とってもお似合いな2人だったよ。
2人ともギュッと手を繋いでたし。」
「そっかぁ…」
言葉を失ってしまう。
なにも知らない他人の雅紀が見ても
お似合いなカップルに見えた2人。
あの人混みの中で手まで繋げるなんて
雅紀が見た2人は、たぶん
ほんとに男女のカップルなんだろう
じゃあ俺が見た2人は誰なんだ?
あれはまぼろしだったのか?
潤のことを考え過ぎてた俺が見たまぼろし。
指を絡めてた2人
優しく腰を抱くようにして歩いていく2人
絶対に潤だった。
あれは潤に間違いないんだ。
けど、あいつが
あんな人混みで
男同士、手を繋いだりして歩くのか?
照れ屋で恥ずかしがりやだった潤
大学のちかくの地元のちいさな祭り
夜店を見に2人で出かけたとき
めちゃくちゃ金魚をすくって見せたら
びっくりしながらすぐ隣で喜んでた潤。
帰り道に、触れた手を繋ごうとしたら
真っ赤な顔で俯いて立ち止まって
少し人目を気にしてからそっと手を引っ込めた。
それ以来
潤と外出するとき
手を繋ごうとはしたことは一度も思わなかった。
「ふーん、どうなんだろう。
でも、とってもお似合いな2人だったよ。
2人ともギュッと手を繋いでたし。」
「そっかぁ…」
言葉を失ってしまう。
なにも知らない他人の雅紀が見ても
お似合いなカップルに見えた2人。
あの人混みの中で手まで繋げるなんて
雅紀が見た2人は、たぶん
ほんとに男女のカップルなんだろう
じゃあ俺が見た2人は誰なんだ?
あれはまぼろしだったのか?
潤のことを考え過ぎてた俺が見たまぼろし。
指を絡めてた2人
優しく腰を抱くようにして歩いていく2人
絶対に潤だった。
あれは潤に間違いないんだ。
けど、あいつが
あんな人混みで
男同士、手を繋いだりして歩くのか?
照れ屋で恥ずかしがりやだった潤
大学のちかくの地元のちいさな祭り
夜店を見に2人で出かけたとき
めちゃくちゃ金魚をすくって見せたら
びっくりしながらすぐ隣で喜んでた潤。
帰り道に、触れた手を繋ごうとしたら
真っ赤な顔で俯いて立ち止まって
少し人目を気にしてからそっと手を引っ込めた。
それ以来
潤と外出するとき
手を繋ごうとはしたことは一度も思わなかった。