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イラクサの棘

第34章 訪問者

智side



雅紀のやつ
もう起きてるかな?

テレビでも着けてぼんやり観てるかな?
あいつの好きな番組ってなんだっけ?

昨日の帰宅はかなり遅い時間になった。
念の為今日の仕事は休ませることにしたから
今朝はゆっくり過ごしてる筈。

スマホの画面を眺めてても
真っ黒のまま
まだ誰からも連絡は入らない。

まあ、元々が人付き合いが苦手で
そういった付き合いは避けてきてたから。


個展開催
地元の新鋭アーティスト

安っぽいポスターだって
雅紀はとても喜んでくれて
いろいろな知り合いや、店でも
興味ありそうな客なんかに
チラシやポスターを配っててくれてた。


実家の借金は親父の事業を負債ごと丸ごと
購入してくれるって
同業者がいてくれてどうにかなるって
目処がついた途端に
かあちゃんまで癌の宣告。

親父の入院、おふくろの通院
看護師の美也子はそりゃあ両親の世話は
よくしてくれたんだ。
妊娠してても働き続けて、出産後も
さっさと職場復帰を決めた。


「智は好きなことしていいのよ。
出来れば晶の面倒をお願いしたいしね。」


晶が産まれるまで親父の見舞いや
かあちゃんの通院の付き添い
碌に働きもせず両親の世話をしてて
晶が産まれてからは
ほぼ専業主夫みたいに暮らしてた。



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