イラクサの棘
第34章 訪問者
孫の晶が産まれて
めちゃくちゃ喜んでくれた親父
その数ヶ月後、息を引き取る間際に
孫を見せてくれてありがとう
母さんと美也子と晶を頼むなと言い残した。
父ちゃんの死亡保険でおかげで
当面の生活費とかあちゃんの癌治療の費用は
どうにかなったんだ。
晶が産まれて、半年後に美也子は職場復帰。
ふにゃふにゃの赤ん坊だった晶の世話は
雅紀がなにかと手助けしてくれていた。
かあちゃんの癌の進行はかなりはやくて
晶の1歳の誕生日を迎える前に
父ちゃんの待つ天国へ行っちまった。
立て続けに失った大切な存在。
かあちゃんが亡くなって、実家も売り払う
ことになって、晶を抱っこ紐でつれながら
いろんな手続きに駆けずり回った。
そういったことが苦手な俺のサポートを
雅紀はいつだってしてくれてた。
父ちゃん見舞い、かあちゃんの通院の送迎
2人の葬式の時には茫然自失で
なんも出来ない俺の代わりに葬儀屋との
打ち合わせなんかもしてくれてたんだ。
晶の予防接種のことや、幼稚園の手続き
俺ら家族の様々な世話まで。
雅紀はいつだって俺のそばにいてくれてた。