イラクサの棘
第34章 訪問者
ん、なんでだ?鍵が開いてる??
「おーい雅紀ーぃ
具合はどうだーまだ眠ってんのかぁー」
…………
返事がねえな
そうっと寝室を覗くと雅紀のおだやかな寝顔。
薬を飲んで眠ってるみたいだ。
枕元には、薬袋とペットボトル。
「まだぐっすり眠ってんだ、良かった。」
雅紀の寝顔を見て安心した。
さあてと、お粥でも作っててやるかな。
たまには雅紀の為に料理してやらないとな。
そうだ、今夜は昨日釣り上げた
アジをフライにするつもりだから具合が良く
なってたら雅紀もうちによんでやろう。
リビングの扉を開けると
テーブルの上に置かれた
たくさんのフルーツとお菓子の袋。
「え?あれ?美也子が…来たのか?」
冷蔵庫をあけると
真新しい牛乳パックと、数種類の飲料
ペットボトルが整然と並んでて
それらはどれも雅紀がおすすめだよって
買ってきたことのあるヤツだ。
キッチンコンロに鍋?
まだほんのり温かい
「たまご粥だ……
これ、美也子じゃねえ。」
あいつはたまご粥が苦手だって言ってた。
確か雅紀は、でも俺は好きだもんって
言い返してた事があった。
俺も、作るなら白粥だから…
俺よりも雅紀の好物、好みを知ってる
誰かがいるんだ。
しかも朝からこの部屋に入って来てる。