イラクサの棘
第34章 訪問者
誰だ?
いったいどんな奴なんだ?
いや、どんな子なんだ?
雅紀は付き合ってる人なんて
いませんって言ってたけど
なんだよこれ
俺が知らないだけで
雅紀にはちゃんといるんじゃねえかよ!
訳の分からない衝動が込み上げてきて
手にしてたコンビニ袋を
そのまま持って帰ることにした。
雅紀のマンションから
そっと出て、個展会場に戻ってきた俺は
なぜかモヤモヤしてた。
昼飯も食わず、とりあえず個展に来てくれた
来客対応をするくらいで
あとはぼんやりしてた。
昼過ぎにようやく雅紀からのコールがきた。
「もしもし智兄?おはよー
昨日はごめんね、迷惑かけて。
今起きたんだ、ぐっすり寝たから
もう元気いっぱいだよ。」
「そっか、良かったな。
俺のほうこそ昨日はヘンな事言って
悪かったな。あんなの冗談だから
忘れてくれよな。」
「うん、やっぱりそうなんだ!
良かったぁ」
「あのさ午前中、おまえちに行ったんだぜ。
おまえはぐっすり眠り込んでたけど、
なんか、たまご粥も鍋に作ってて
他に誰が来たみたいだったから
俺、なんもせずに帰ったけど
雅紀、もしかして恋人とかいたりするのか?」
「へ?俺に恋人?
あ、もしかしてニノがいろいろ
持って来てくれたフルーツとかお菓子?」