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イラクサの棘

第34章 訪問者



「…ニノ?」

「友達だよ、俺の親友で
とってもいいヤツなんだよ。
ニノが差し入れもってきてくれた時に
たまご粥も作っててくれたんだ。
でも、俺、智兄のお粥のほうが食べたかったな。」

「友達?そっか雅紀の親友なのか…
なんだ、俺はてっきり恋人でも
出来たのかと思ったんだぜ
…そっか、なんだ、友達だったのか」

「クフフ、ニノはとってもいいヤツなの。
だから、今度智兄にも紹介するね。」

「ああ、そうだ。
晩飯、俺が用意するからうちに食べに来いよ。 
昨日釣ったアジ開いてるから
雅紀にも美味いの食わせてやるよ。」

「わーい楽しみ、うんうん智兄ありがとね。
じゃあまた夜ね、バイバーイ」



なんだよ
ただの友達なんじゃねえか
雅紀の親友って言ったよな

ニノねぇ、どんなヤツなんだろう。


底無しのお人好しの雅紀には
知り合いはたくさんいてて
商店街でも、町内でも声をかけてくる
奴らは大勢いるんだけど

今まで、雅紀から親友の話って
あんまり聞いたことない。

いや、違う
俺が雅紀の事に関心や興味を持ったり
気にかけてやった事が無かったんだ。





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