イラクサの棘
第36章 報告
金庫に?!
もしかして先生は、翔さんの
記入しているこまかな約款の内容も
すべて読んだってこと?
「あっあの、先生。
俺、この旅行中に、翔さんに告白されました。
それで…俺、悩んだんですけど
翔さんと恋人として
これからお付き合いしたいと思ってます。
だから、先生っ…」
「それはブラボーだね。
潤、僕は今最高にしあわせだよ。
君から届いた葉書を見て、2人がとても
しあわせそうに見えたんだよ。
そうか、とても喜ばしいことだね。
潤、翔のことよろしく頼んだよ。」
「ありがとうございます、先生っ
俺のほうこそ、先生が
翔さんのことを紹介して…先生??
あのっ?大丈夫ですか?!」
電話口ではげしめに咳き込む先生
やっぱり長電話なんてさせられない。
すかさず翔さんが
俺の手からスマホを取りあげて先生の
様子を訊ねてくれる。
「おっさん、あんまムリすんなよ。
ああ、そっちには今週には行く予定だよ。
だから心配すんなって
帰ったら、また2人で土産持ってくから
じゃあな。」
「翔さん、先生は??」
「潤のサプライズ報告があまりに嬉しくて
紅茶が咽せたんだってさ。
大丈夫だよ、そんな顔するな。」
「…ホントに?」
「俺は、ウソは言わねーだろ?」
「ん、…ぁん…翔さぁ…んん」