イラクサの棘
第37章 オオカミ&オオカミ
「やっぱりダメ!深呼吸もダメ!」
そうだ!
ストレッチとかして身体を解して
リラックスしたら
きっと変な妄想とか、不埒な行為とかも
思い出したりしないよね?
ベッドの上にあがると
連泊するからメイキングサービスは
断ったよって言われた意味が今、理解できた。
2人の愛し合った染みが…
あちこちに残ってるんだ…
ベッドから降りて床に座り込んでみても
窓ガラスに視線がいく度に
どうしたって汚れた箇所が気になるから
「ああ、もうダメ!
先に電話をしちゃえばいいんだ。」
さっさと要件を伝えて
さっさと電話を切ればいいだけだから。
ウォーターデッキのベランダに出て
足湯のところに腰を下ろす。
「はぁ、すっごく気持ちいい…
あとで翔さんも呼んで来なきゃ。」
お湯かげんが気持ちよくて、
ついつま先を揺らして楽しんでしまう。
お湯の中でゆらゆらとたよりなく揺れてみえる
足の指、それもぜんぶ翔さんが舐めてくれた。
「もう、翔さんのバカッ!
どこ見ても…なにしても思い出しちゃう。
まだ夜じゃないのに、
翔さんが…欲しくなっちゃうよ。」
翔さんが再び優しいオオカミに変身するのは夜
ここにいると強く込み上げてくる想い。
「ダメダメ!
先に電話、電話っ」
ゆるく反応し始める下腹部を無視して
通話記録から急いで智の番号をタップする。