イラクサの棘
第40章 ルーツ
「お2人とも大変仲が良くて
どこへ行くのもご一緒されておりました。
こちらにも毎年坊っちゃまをお連れになり楽しく
過ごされておりました。」
「クリスマスには庭に生えてる
どでかい木にイルミネーションで
飾ってみたりさ、キャンプするぞって
道具を一式買ったくせに、
結局じいやも一緒に連れて行くんだぜ?」
「はい、そうでございましたね。
お2人ともとてもお優しい方々で、
坊っちゃまのことをそれはそれは
とても可愛がっておられましたね。」
「だから、翔さんもこんな風に優しく
ステキな人に育ってくれたんだね。」
血縁で結ばれてなくたって
翔さんとご両親は
とても強い愛情で結ばれてるんだろうな。
スイスの留学先で出会ったご両親
フランスで再開して恋に落ちたなんて
まるで小説みたいな話。
「あちらのお部屋でよくお坊ちゃまがピアノを
弾いてその曲に合わせてお2人がダンスを
されておられましたね。」
「ったく、
まだほんの習いたての俺に
自分らの思い出の曲の譜面押し付けやがって
まあ、でも楽しげに踊ってよな。」
「翔さんってピアノ弾けるの?」
「まあな、いろいろ習い事したけど
まともに身についたのは、
ピアノの外国語くらいだな。」
「ぜひあちらでご演奏なさってください
いつでも弾けるように調律はしております。
どうぞ、坊っちゃま。」
「うーん指が動かないと思うけどすこしだけな。」