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イラクサの棘

第41章 再会





「それってもしかして
サトシオオノの個展のパンフレット?」

翔さんが手にしてるパンフレットを見て
コーヒーを運んでくれた雅紀が訊ねてきた。

「ああ、そうだよ。
ここ、今から俺らが行くところ。」

「うそぉ、それって晶のパパの
大野智の個展なんだよ!
うわぁ、わざわざ観に行ってくれる
なんてありがとうございます!
めっちゃうれしいなぁ。」

「あのさ、相葉くんって…
晶くんの…そのパパさんとの関係って?」

優しい眼差しで微笑んでくれてるのに
なぜだか瞳の奥が切なさを映し出してるように見えた。

「大野智は俺の姉ちゃんの旦那さんで、
義理の兄弟なんだ。
まあ、3人とも幼なじみみたいな関係でね。
小さい頃からずっと智兄って呼んでたんだ、
そしたらね、
ほんとのお兄ちゃんになっちゃったぁ」



カラカラと笑い飛ばす相葉くん
それがまるでいつもの決まったフレーズみたいで
笑顔もどことなく乾いた笑い。



なにやら複雑化してきた関係性だけど
個展に行く要件はあくまでもシンプルだから。

「…そうなんだ。
義理の、弟さん…なんだ。」

「どうりで晶くんもなついてるもんな。」

「クフフっ、もう一緒に住んでる家族みたいな
もんかな?週3くらいで
一緒にご飯も食べたりしてるしね。
あ、そうだよければ俺が案内するね?
智兄にも晶を助けてくれら2人ですって
伝えたいんだ。
あと、30分待っててね、そしたら
俺もシフトあがりだからね。」



一気に話終らせて皿を持って去っていく。

「…マイペースだね、相葉くんも。」

「だな、たしかに
俺らになんも言わせないってすごいな。
けどまあ、
2人で出向くからいいんじゃないの?」


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