イラクサの棘
第5章 Journey
これって
俺、今お姫様抱っこされてる?
「えっ、ちょっと、待って…おっ降ろして
俺、自分で歩けるからっ」
「黙ってろ、恥ずかしなら顔伏せとけ
あ、部屋まで先導してもらえますか?」
「はい、かしこまりました。」
若手の車掌が急ぎ足で先導してくれた
おかげで、ざわめく空間をあっという間に
通り過ぎることができた。
「あと、もう少しタオルと念のため氷水持って
きてもらえますか?薬はもってきてありますから。」
「はい、かしこまりました。
それではまた後ほど失礼します。」
「あの、もう重いから…降ろして」
「どう?痛くない?」
「もう、平気だと思うけど」
バックルを緩める手が止まる
だってそんに心配そうに見つめられながら
脱げるわけないじゃん。
「痛むのか?脱がしてやろうか?」
「平気っ、てか恥ずかしいから
あっち向いててほしい。」
「プッ、ごめんごめん。
悪かったよ、後ろ向いててやるから
はやく脱いでちゃんと見せてよ。
水膨れとかなってないか診てみないと」
カバンを開けて荷物を漁る翔さんを
意識しながら、濡れたチノパンを脱いで
ベッドの上に用意されてたガウンを羽織る。
座って太ももあたりを見てみても
うっすらと赤みががってるだけで
火傷にはなってないみたいだ。