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イラクサの棘

第42章 勢揃い




「はじめまして、俺は櫻井翔と言います
おっさん、いや教授の親戚で
今回は、潤と2人で旅行しています。
俺はこの旅行で潤に恋をして、好きだと
告白しました。
潤はいろいろ悩んで真剣に考えてくれました。
それでも、俺の気持ちを受け入れてくれて
俺らは恋人同士になり
昨日、俺は潤にプロポーズしました。」

「翔さんっいきなりそんな事まで!」

「…はは、ごめん
…すっげえ…訳わかんねぇ
なんか話の展開が、ごちゃごちゃで早過ぎて…」


パチパチパチパチ!!
直ぐ隣のニノからの拍手と賞賛。

「素晴らしいじゃないですか。
2人は恋人同士になれて
永遠の愛まで誓う仲になった。
ただの旅行がハネムーンに変わるんだね?
同性婚もいよいよ認められそうだし
2人の未来はきっと明るいでしょうね。」

「ちょっと、ニノッ!」

「お2人さんおめでとうございます。
俺は、そろそろ帰らせてもらいます
雅紀、おまえもそろそろお迎えに行って
やった方がいいんじゃない?
おにいさんはまだお仕事中なんだから。」

「あ、うん。そ、そうだね。
俺、智兄の代わりに晶の
お迎えに行ってくるね?
あの、晶もここに連れてくるからね?」


呆然として立ち尽くしたままの智兄を
放って、ニノに腕を掴まれて個展会場を後にする。

翔ちゃんの告白を聞いて
固まって動けなかった俺を
連れ出してくれたのはやっぱりニノなんだ。


でも、3人になったら?
智兄はあの二人の相手ができるの?
お似合いな2人だって言ってた
俺の言葉が、智兄を傷つけたと思う。

更にさっきの翔ちゃんの澱みのない口調で
プロポーズ話を聞かされて
智兄の心の傷口から、
きっと血がながれ出ちゃうよ…




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