イラクサの棘
第42章 勢揃い
智side
「あ、すまん。茶淹れるの忘れてるな。」
「別に、要らないから。」
「いや、潤の好きなモンブランのケーキ
買ってきてもらってあるからさ。
ここのモンブランはめちゃくちゃ
美味いって雅紀のオススメでな…」
「さっきスイーツは食べてきたから。
いいよ、いらない。」
「そっか…そうだよな…すまん…」
「あのさ、個展の案内してもらえない?
翔さんが観たいって言ってるし。
俺も、帰って先生に伝えなきゃいけないから。」
事務的で業務的な淡々とした口調
すべてを寄せ付けてもらえない。
熱量を全く上げない潤とは真逆で
潤の恋人の櫻井翔は
俺の作品の一点、一点に
細かく内容を教えてくれと訊ねてくる
どうやら本当に興味を持ってくれてるみたいで
途中メモまで取り出して記入したりしていた。
描いてる最中の心情
作ってる作品の背景
描写の意味合い
芸術的才能は悲劇的に皆無なのだが
とにかく観たり、触れたり、聴いたりと
芸術に触れることは好きなのだと告げてくる。
潤に寄り添い
時折り、腰に腕をまわして
肩を抱いていたり
歩調を合わせて歩いたり
男同士だとか一切の躊躇いのない所作。
俺が何一つしてやらなかった事
潤、おまえの微笑みは
櫻井翔にだけ向けられるんだな
当たり前だよな
クズみたいな俺との恋愛期間なんて
もうおまえはとっくに忘れちまったよな。
独りよがりに思い描いていた潤との再開とは
まったく違う形になってしまった。
絶望感に苛まれ
2人が睦まじく寄り添そう姿を見ては
ただ虚しさだけが込み上げてくる
敗北者の旗を掲げるしか無かった。
「あ、すまん。茶淹れるの忘れてるな。」
「別に、要らないから。」
「いや、潤の好きなモンブランのケーキ
買ってきてもらってあるからさ。
ここのモンブランはめちゃくちゃ
美味いって雅紀のオススメでな…」
「さっきスイーツは食べてきたから。
いいよ、いらない。」
「そっか…そうだよな…すまん…」
「あのさ、個展の案内してもらえない?
翔さんが観たいって言ってるし。
俺も、帰って先生に伝えなきゃいけないから。」
事務的で業務的な淡々とした口調
すべてを寄せ付けてもらえない。
熱量を全く上げない潤とは真逆で
潤の恋人の櫻井翔は
俺の作品の一点、一点に
細かく内容を教えてくれと訊ねてくる
どうやら本当に興味を持ってくれてるみたいで
途中メモまで取り出して記入したりしていた。
描いてる最中の心情
作ってる作品の背景
描写の意味合い
芸術的才能は悲劇的に皆無なのだが
とにかく観たり、触れたり、聴いたりと
芸術に触れることは好きなのだと告げてくる。
潤に寄り添い
時折り、腰に腕をまわして
肩を抱いていたり
歩調を合わせて歩いたり
男同士だとか一切の躊躇いのない所作。
俺が何一つしてやらなかった事
潤、おまえの微笑みは
櫻井翔にだけ向けられるんだな
当たり前だよな
クズみたいな俺との恋愛期間なんて
もうおまえはとっくに忘れちまったよな。
独りよがりに思い描いていた潤との再開とは
まったく違う形になってしまった。
絶望感に苛まれ
2人が睦まじく寄り添そう姿を見ては
ただ虚しさだけが込み上げてくる
敗北者の旗を掲げるしか無かった。