イラクサの棘
第6章 ユメウツツ
「ん?………あれ?…え??」
「んーーはよ…起きたか?」
「うそ…俺、なんでっ痛っ!」
上体を起こそうとするとひどい頭痛
いわゆる二日酔いのせいなのかガンガンと
かなりするどい痛みがする。
上半身裸の翔さんに抱かれるように
腕の中で目覚めた俺は
昨夜のこの部屋での記憶がひどく曖昧で、
この受け入れ難い
現実に言葉を失ってしまう。
「だからあんなに呑むなって言ったのに。
ほらよ、二日酔いの薬。」
「ん………」
常温のペットボトルを手渡されて
手のひらに置かれた二錠を口に含む。
「…えっと、あのごめん…なさい
昨日のこと、俺、よく覚えてなくて…
迷惑かけたんだよね?」
「いいや、潤の喜怒哀楽がすっげえ楽しめたよ
けど、誰かとサシ飲みするときの量は考えたほうが
いいかもな。
あのボトル2本ほぼ、おまえが空っぽにしたんだぜ。」
昨日頂いた差し入れの2本を指さす。
テーブルの上には2本の空のボトル
その傍らでコルクが転がってた。
おぼろげで断片的な記憶は
途切れ途切れだけど
かなり酩酊して、翔さんに面倒くさく
絡んだ挙げ句最後には泣き出す始末。
「………おーい、じゅーーん?大丈夫かぁ?」
ものすごく、恥ずかしくて
翔さんの顔が真面に見れない
そういえば、俺パジャマに着替えてるし。
たしか2人でグラスを傾けての乾杯のときは
ガウン姿だった筈
かなりのやらかしで酔い潰れて
とてつもない迷惑と、世話を翔さんに
かけてしまったんだ。
「俺の着替えは……翔さんが?」
「ああ、笑い上戸に、怒り上戸だろ
最後は泣き上戸の潤だったからな。
けど、着替えるときは子どもみたいに素直に
両腕上げて着替えさせてくれたぞ。
着替えたらすぐ抱きついてきて
一頻り泣いたらそのまま眠り込んだよ。」
項垂れながら両手で顔を覆って
醜態を晒した自分を呪いたくなった。