イラクサの棘
第6章 ユメウツツ
「そんな落ち込むなよ。
素の潤が見れたし、以外な可愛さも知ったし。
俺にとっちゃあ楽しいサシ飲みだったぜ。」
「ぅゔ…………益々自分がイヤになった。」
「あんま気にすんなよ。
ほら、朝飯食べるだろ?」
ベッドから降りた翔さんが
俺の頭をぽんぽんの優しく撫でてくれる。
まるで子ども扱いされるけど
たしかに昨夜の自分は
どうしようないガキみたいだったし。
「食べたくないかも。」
そっと顔を上げると
丁度俺の視線の高さに翔さんの下半身があって
ボクサーパンツの前の部分が
盛大に朝の勢いづく形を現している。
「ダメだよ。朝はちゃんと、食べな。
ほら、食堂車に行く準備するぞ?
スープだけでも飲んどかなきゃ。」
昨日みた智の夢がオーバラップしてきそうになり、
それを振り払いように頭を左右に振ると
両手で顔を包まれて心配気に覗き込んできた。
「潤、どした?」
素肌の肩口から鎖骨の付近
首筋に浮かぶ血管はうっすら汗ばんでる
健康的で男らしい優美な曲線。
「わかったから、ちゃんと、行くよ。
だから、服、着てよ…目のやり場が……」
「ん?あっもしかして
昨日俺に襲われたかもとか心配してる?」
「はあ?」
「安心してください!俺は相手と合意がなきゃ
無理矢理手は出さない主義です。」
腰に手をあてて、わざと股間を突き出すポーズで
懐かしい芸人の真似事をしてみせるのは
もしかして、
落ち込む俺のことを笑わせようとしてくれてるのかな。
「もう、ちゃんと前隠せって言ってるの
それに、もし襲われたりしたら
いくら酔ってても気付いてブン殴るし!」
「ハハっ、そのくらい声出るなら安心だわ。
自慢の肉体美を惜しみなく晒した甲斐があるな。
じゃあ、ささっとシャワー浴びてくる。」
足取り軽く鼻唄まじりの翔さんは
パンツ姿のまま
シャワールームに消えていった。