イラクサの棘
第6章 ユメウツツ
「足くらいってなぁ、おまえ。
もう少し自分自身の評価を高くしろよ。
これから先の出逢いで恋したり、結婚とか
だって有るかもしれないだろ?」
自分の身体だろ
もっと自己評価をあげてやれよだなんて
たしかに小さい頃から
この見た目のせいで
声をかけられたり、賞賛されたりは
少なくなかった。
でも、反面危うい事や友達とのトラブル
なんかにも巻き込まれることだってあったから。
初めての恋愛
運命の相手と思ってた人とは一度は
結ばれたけど
結局は裏切られて捨てられた。
だから
もう誰とも恋愛まで発展するような関係性は
築きたくないんだ。
「自己肯定感が高いか、低いかはわからないけど
これから先、もう誰かと恋愛する気はないから。
俺はずっと一人で生きてくって決めてるよ。
だから、すこしくらい身体に傷痕が残ったって
誰にも見せないし、気にもしない。」
「1人でねぇ、その若さで
その覚悟と決意は立派だけど
あんま自分を雁字搦めに縛り付けんなよ?
それに恋愛もかなり豊かな出逢いだと思うぜ。」
踠き苦しんだ末に、俺が下した結論
覚悟?
決意?
そんなご立派な簡単な言葉では片付かない
人目につきたくなくて目立たないように
鬱陶しくなるほど髪は伸ばして
なるべくこの顔を覆い隠すようにしてる。
コンタクトはやめて常時眼鏡に変えた。
息を潜めて生きていく為に
誰にも振り向かれたりしない為
うつむき加減でここまで1人で生きてきた。