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イラクサの棘

第7章 記念写真




「おーい、お待たせ潤。
写真できたぜ、ほら。」

「あ、これ絵葉書になってるの?」

さっきの写真が葉書に加工されていた。
肩組まれてたから
めちゃくちゃ顔の距離感が近かったんだ。

「ほい、ペン。
これ速達で送ったら2人でちゃんと
旅してるって分かるだろ?」

「あ、先生に出すの?
そっか、絵葉書じゃなくて、写真葉書か。」

俺もそろそろ絵葉書でも
購入しようかなって考えたから
タイミング的には抜群。

お元気ですか?
2人で仲良く北の大地の旅を楽しんでます!潤

ホタテ、ウニ、イクラ、サイコー!J&S

「フフッ翔さんらしいね。」

「だろ?
明確に且つ端的で的確なメッセージで
好きな物と楽しむ様が伝わる。」

「そうかなぁ?
でも、翔さん海産物は大好物だもんね。」

「潤がちゃんと書いててくれてるから
それで充分に伝わるよ。
だから、俺はお笑い担当な!」

「うん、じゃあ切手買ってくるね。」



スマホで写メを送信するのは簡単だし、
いくらでも枚数は送れるけど
それって相手の都合とかの有無に関係無く
送り付けることになるから。
だから
送る世代によっては躊躇してしまう。
先生もスマホの小さな画面は見難いから
すこし苦手なんだよって
言ってたこともあったし。


こんなカタチで
2人の旅路の道中が伝えれるなら先生だって
じっくりと手にとって見てもらえるし
きっと安心してもらえる。


記念切手を速達分貼り付けて
最北端の町のポストへ投函した。

  

この葉書が届いたら
もしかして先生、電話してこられるかな?
俺もそろそろ決めなきゃ…
智に直接会うのか、
それとも翔さんに代理をお願いするか。






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