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イラクサの棘

第1章 プロローグ



「あ、これ。」

「お、そこの動物園は有名だよね。
それならプランなら園内をゆっくり回れるし
オプションの内容もかなりあるよ。
触れ合い体験、えさやり体験、あと飼育員に
なってみよう体験とか。」

「へえ、すごい。飼育員体験か、いいなぁ」

「松本くんは動物好きなんだ」

「はい、動物は大好きなんですけど
でも、俺、正直動物からはあまり好かれなくて…
犬でも、猫でも俺の片想いみたいな
なんか嫌われちゃって…」

「ふは、他にも熊牧場とか、キタキツネ牧場なんて
のもあるよ。
大好きかぁ、すごいね、
正直言うとさ、
俺は動物はあんまり得意じゃないんだよね。
あ、ここ!
この新しくできたアクアリウムは
けっこう評判良いらしいよ。」



付箋紙のページを開いて俺に差し出して見せてくれる

もしこの人が、旅行代理店のカウンターに
座って営業していたら、
ものすごい売り上げになって
かなり優秀な営業だったりするかも。


押し付けがましくも無くて
気さくでテンポの良い話ぶりに聞き入ってしまう。



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