イラクサの棘
第7章 記念写真
ログハウス風の建物のは岡田先輩と
協同経営者の人と知り合いの職人さんで
手作りしたらしく
暖炉と囲炉裏まであるリビングがある。
2階にはゲストルームまで備わってて
いつか酪農体験のできる宿泊施設なんかの
計画もあるそうだ。
ご不在の婚約者は
薬膳やら、パッチワーク等の講師資格を持っていて
2週間程都内の講演会に出かけてて留守らしい。
牧場を協同経営してる長野さんって人は
ここから車で20分くらい先の森の中で
趣味が高じてジビエ料理のレストランを
オープンさせてるそうで
その店の上が長野さんの住居だそうだ。
「ここのファームで取れた野菜やハーブ
搾りたてのミルクにチーズだろ
肉は俺が狩猟する。
ほとんどが地産地消で、この牧場で賄える
素材をレストランで提供してるんだ。」
「長野先輩ってたしかフランス行って
料理の修行してましたもんね?」
すごいや、フランスで修行だなんて…
ホントに翔さんの知り合いって
世界に羽ばたいてる人が多いんだ。
「ほら、これ飲んでみて。」
湯気の立つおおきめのマグカップ
カフェ・オ・レかな?
ほのかにあまい香り。
しずかに息を吹きかけてすこし
冷めるのを待ってカップに唇を寄せる。
「うん、美味しい!
甘過ぎないけど、しっかりミルクのコクがある。」
「うんホント、潤の言う通りマジで美味いな。」
「おまえらホントに知り合ったばかりなのか?
そんなに見つめ合って仲良いいなぁ。」