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イラクサの棘

第7章 記念写真


翔side


「そ、そう…ですか?
でも、翔さんとはホントに最近知り合った
ばかりで、この旅に一緒に出かけるのが
はじめてなくらいだから…」

「そうなのか?
ずいぶん気心の知れてる仲に見えるぜ。
まあ、どっちにしろ2人は馬が合うってヤツだな」

「きっと翔さんが
俺に合わせてくれてるんだと思います。
翔さんはすごく物知りだし、とても頼りになるし。」


気恥ずかしそうに俺のほうへ視線を向ける潤の
頬は赤く色付いている。




「良かったなぁ、バーンビ
おまえ、頼りになる男だってさ。」

「当然ですよ!なぁ潤。」


いちいち面倒くさく絡んでくる岡田先輩だか、
世話焼きなのは確かで、潤との会話の最中も
矢継ぎ早に質問攻めをしながら
アレやこれやと
牧場で作ってるチーズ製品にヨーグルトに
俺らが買ってきた手土産なんかも並べて
もてなしてくれる。

チェーンソーを操って創作した自慢の
ダイニングテーブルの上はパーティー状態。


あたたかな飲み物でもすこし血色が良く
なってきていて
物珍しい気に部屋のあちこちを見回しては
岡田先輩に質問攻めをする潤がいた。
案外気が合う2人かもしれない。






「俺さぁ、牧場経営やってみたいねん」

学生時代の飲み会の席
ほろ酔っ払い気分の戯言を
ここまで確実に実現化してる先輩。

岡田先輩からしたら
いつまでもふらふらして落ち着かない
俺はやっぱりガキで、バンビなんだろな。

けど今回のことは俺自身も腹を決めた行動。

頼りがいのある先輩も
潤を気に入ってくれるみたいだ。


そう、賽は投げられている。






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