イラクサの棘
第8章 温泉
「さてと、片付けは明日にするから
翔、おまえ風呂はいってこいよ。」
「いえ、岡田先輩こそ
先に入ってください。俺ら適当に寛いでから
片付けときますから。」
「翔が片付けねぇ、ホントに出来るのか?」
「あ、俺も手伝いますから。
大丈夫です、ゆっくり入ってきて下さいね。」
「じゃあ安心だ。
くれぐれも潤の邪魔はするなよ、バーンビ。」
握った拳を見せたところで
自慢の両腕で絞め技のポーズを見せてくるので
勝ち目全くなんてねぇし。
リビングへ岡田先輩を見送りついでに
ソファにあった膝掛けを手にして潤の元へ。
「ほい、寒くない?」
チェアーに深く腰を下ろして
ゆったりと寛いでる潤
しばらく無言のまま夜空を見上げていた。
「あ、翔さんありがとう。
でも、ぜんぜん寒さを感じないんだ。
むしろ、身体の中からぽかぽかしてきてるよ
温泉の効果かな?」
「だと、いいな。
おまえ冷え性って言ってたもんな。」
「うん、翔さんは暑がりで汗っかきだもんね。」
「まあな、けど温泉は好きだぜ。」
「ホントにびっくりするから
手作りなんて思えないくらい豪華なお風呂だもん。」
星空が瞳に吸い込まれたかのように
キラキラした美しい輝きを放つ潤の眼差し。
炙ったチーズをつまみに2人だけの酒盛りが始まった。