イラクサの棘
第10章 チカヅケナイ
なんで?どうして!
どうしよう?
どうにかしなきゃ
深呼吸しても、鎮まらなくて
足音を忍ばせてトイレへ向かおうとした時
「うーーん」
眼鏡を探すのに点灯したベッドライトの
灯りに翔さんが反応したみたいで
慌てて灯りを消した。
携帯のバックライトで部屋を出ようすると
寝返りをうった翔さんが
掛け布団を床にぜんぶ落としてる。
「フフ、ホントに寝相悪いんだ。」
本人が言ってた寝相の悪さ
夏には暑さで着てるもの脱ぎ捨てて
全裸で目覚めたりすることがあるって
冗談だと思ってたけど
「…じゅーーん、もう食えねぇっ……」
ふたたびの寝返りで大の字になると
浴衣の裾がはだけて、下着からのびる
両脚まで露わになった。
翔さんの太腿、こんなに白いんだ
でも、しっかり筋肉質だし
脚は、長くて細いけど
あっ、翔さんも……そりゃ男だもんね。
つい視線を逸らしてしまったのは
翔さんのしっかり勃起してる股間部分
慌てて落ちてる布団を翔さんに掛け直した。
廊下に出て扉をそっと閉める
目を閉じて深呼吸をした
さっきよりも下腹部が膨らんだ気がする。
落ちつかなきゃ
いや大丈夫だ
落ち着け、落ち着けっ!
廊下の突き当たりにある
トイレの個室で
閉じこもりながら
しばらく独り言をつぶやいていた。