イラクサの棘
第11章 牧場の朝
「あのね翔さん、俺ねヤギの乳搾りもしたし
鶏小屋を掃除してエサやりして、鶏の卵も
取ってきたんだよ?」
「マジかよ?
それってまさか先輩に命令されて?」
「こらっ人聞きが悪いぞ。
潤が手伝いたいと申し出てくれたんだ。
不法就労なんぞさせてない。
いわば、実体験型の研修みたいなもんだ。」
「そうだよ、翔さん。
俺が早起きしちゃったから、手伝わせて
くださいってお願いしたんだ。」
「そっか、なら良かった。
ちなみ昨日の俺は有無を言わさずに
薪割りさせられたんですけど?」
「ハハ、あれはバンビを鍛えてやったんだ。
むしろ、ありがたく思ってほしいぞ!」
噛み合わない会話に苦笑い。
その合間に運ばれる、スープに、サラダ
ソーセージと目玉焼きのプレート
俺好みの半熟気味のプレートは目の前に置かれる。
「ヨーグルトと、フルーツは後でな。
さあ、食おう。」
「「いただきまーす」」
潤と、2人で重なる声。
クリームスープだと思ったら、
俺の好きな貝がふんだんに具に入ってる
チーズ風味がサイコーに美味いスープだ。
「これ、ヤバ!
マジで美味すぎだ、先輩っさすがですね!」
「アホ、これは潤が作ったスープだ。」
「潤が?おまえすげえなぁ、
料理男子だったのか!!めちゃくちゃ美味い!」
「わざわざ、おまえが貝が好きだからって
俺に作っても良いかって訊ねてきたんだぞ。」
「うそ、マジで俺の為に!!」