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イラクサの棘

第11章 牧場の朝



驚いたのは
自分でもわざわざ貝好きだとか
言ったりしてなかったし
まさか、潤が俺の好物を使って料理を
作ってくれるなんて思ってもみない出来事だから。


「だって、翔さんお寿司選ぶのも
ほとんど貝類でしょ?
それにツマミえらぶ時も貝からまず
探すんだもん。
大好きなんだなぁって分かっちゃうよ。」

だとしてもだ
わざわざ好物を作ってくれるなんてっ!




「潤っ、マジでサイコー美味い!
おまえ天才シェフだな!」


「アサリの身をたくさん冷凍してるって
岡田先輩が言ったからだよ。
翔さんには、この旅でいろいろお世話に
なってるしね、
でも、良かった。
味付けがすこし不安だったから。」


エプロン姿で見せる潤のやわからな微笑み。
音を立てないように
素早く飲み干しておかわりを告げると


「アハっ早食い競争じゃないんだし
ゆっくり味わいながら食べてよね
でないと火傷しちゃうよ。」

「おお、それもそうだな。
いや、でもマジで、ほんとに美味い!」

「フフ、たくさんあるからね、
残ったらお昼にスープパスタの具材とか
にもできるしね」

「すげえなぁ、潤は。
料理もできてイケメンで。
それに、なんでも着こなせて似合うしな。」

「え?」

「さっき作業着着てただろ?
窓から見えたんだ、それにエプロンも
すげぇ似合っててめちゃくちゃかわいいな。」

「……かっ、揶揄わないでよ!」



頬を赤らめてふいっと横を向き照れる表情は
可愛らしくとても幼く見える。



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