イラクサの棘
第12章 to be or not to be
「すごく飲み易くてとっても美味しい。」
「だろ?飲んだら、すこし部屋で寝とけよ。
夕方に起こしてやるから、
絶品フルコースが待ってるぞ!」
「うん、そうさせてもらうね。
あ、あのね
さっきは、助けてくれて、ここまで
おんぶで連れてきてくれて
ホントにありがとう、翔さん…」
「気にするなよ。
俺もいい運動になったしな。
おかげで絶品フルコースがたらふく食える!」
飲み干したカップを洗いながら
軽めの冗談で話を流してくれた。
助けてくれた行為に恩着せがましさなんて
全く無くって
ミルクヒゲまで着けて
それを俺に見せつけてくるから2人で笑い転げた。
「じゃあ、おやすみ。」
「うん、ちゃんと起こしてね。」
ベッドに入って
いろいろな出来事がぐるぐると
脳内で回っていて処理が追いつかない。
自分の身体に起きてる変化
智からの電話のこと
それから
俺自身も戸惑ってしまってる
翔さんのこと
目を閉じると
疲労感は襲ってくるのに
意識はやたらと冴えてて
なんだか眠りにつけそうになくて
何度か寝返りをしてたその時
扉をノックする音。