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イラクサの棘

第13章 波紋



携帯はいつだって退屈を紛らわせてくれる
アイテムにすぎなくて。


釣り動画に、海の情報
あとは晶の幼稚園の連絡ツールとして保護者会の
グループに親は強制的に参加してる。


嫁さんの美也子に、雅紀、
あとはまだ母ちゃんの番号
知り合い程度の連絡先が数件登録があるだけで
俺の携帯が鳴ることは殆どない。


だけど
フォルダー内には
数えきれないくらいの写真が保存してある。



家族のフォルダー
風景、動物、建物
あとは自分の手がけた作品。

こまめにフォルダー分けをしてて大抵はここを
開いて整理したり写真を見返してたりする。


ぼんやりしてるとつい触るのは
学生時代の懐かしいフォルダー

ロックがかかったソレを
開くのはパスワードが必要なんだ。

スマホは晶にも時々触らせるけど
簡単に入力はできないから
俺以外には誰にも
見られることはないフォルダーの存在。



その中は
学生時代の懐かしいものに溢れている。


そして大切にしてる
俺だけの秘蔵の写真、動画
これだけは絶対誰にも見せたくない。


出逢った頃の潤がそこにいるから。

潤と2人の想い出を重ねた月日分

あのきらきらしてた数年間
潤と俺の2人の大切な思い出が
ここに保存してある。





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