トライアングルパートナー
第19章 純子の再生
夜の人格・潤子はその電話のあった日、自宅の寝室で夫の手首をしばり、天井からつるした。
「いいこと? あなたの係に異動することになった小山内慶子さんという子の指導をしっかりするのよ、いい? しっかり面倒を見てあげてね。あたしの大学のかわいい後輩だから。しっかり、優しく指導するのよ……」
*
純子にその時の記憶が断片的によみがえってきた。仕事の指導をしろとは伝えたが、仕事以外の付き合いまで指導しろとは言っていないはずだ。純子は怒りがこみ上げた。今までの苦労が水の泡ではないか。進一の貞操を守っているつもりだったけど、夜の潤子さんは慶子さんと、仲良く遊んでいたってことかしら。
静かに席についていた純子に怒りがふつふつと湧いてきた。彼女は室長席から突然、勢いよく立ち上がった。その反動で椅子が後ろに勢いよく転がり、壁にぶち当たった。
彼女は室長室を飛び出すと、総務課の会議室を目指し走った。純子の脳裏には進一と慶子が会議室の机の上で抱き合おうとしているイメージを想像した。しかし、彼女のイメージでは、ほとんど、モザイクが掛かっていた。
純子はそうやって息を荒くして向かった会議室のはずだった。それが、どうしたことか、会議室のドアから出て廊下を歩いていた。実に充実した気分だった。その間の記憶がまるでない。
「まさか? また、夜の人格・潤子が現れたの? 調整役の順子はどこ? これはどういうことなの?」
「いいこと? あなたの係に異動することになった小山内慶子さんという子の指導をしっかりするのよ、いい? しっかり面倒を見てあげてね。あたしの大学のかわいい後輩だから。しっかり、優しく指導するのよ……」
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純子にその時の記憶が断片的によみがえってきた。仕事の指導をしろとは伝えたが、仕事以外の付き合いまで指導しろとは言っていないはずだ。純子は怒りがこみ上げた。今までの苦労が水の泡ではないか。進一の貞操を守っているつもりだったけど、夜の潤子さんは慶子さんと、仲良く遊んでいたってことかしら。
静かに席についていた純子に怒りがふつふつと湧いてきた。彼女は室長席から突然、勢いよく立ち上がった。その反動で椅子が後ろに勢いよく転がり、壁にぶち当たった。
彼女は室長室を飛び出すと、総務課の会議室を目指し走った。純子の脳裏には進一と慶子が会議室の机の上で抱き合おうとしているイメージを想像した。しかし、彼女のイメージでは、ほとんど、モザイクが掛かっていた。
純子はそうやって息を荒くして向かった会議室のはずだった。それが、どうしたことか、会議室のドアから出て廊下を歩いていた。実に充実した気分だった。その間の記憶がまるでない。
「まさか? また、夜の人格・潤子が現れたの? 調整役の順子はどこ? これはどういうことなの?」