トライアングルパートナー
第25章 幸せに向かって
慶子は心中で叫びながら、そのじっと見つめてくるおじさんを見つめた。男の異様な光景を目の当たりにし、フリーズしていた慶子は「何のご用でしょうか?」という声でわれに返り、まばたきを2回した。
「ふぅー、危うくドライアイになるところだったぁー」
心中で大きなため息を付いた慶子は改めてフロアー全体を見回した。これだけ、大勢の職員がいるわけだし、中には働かない人もいるのだろうか、と思った。
「えぇぇっ? この人、机の向きが違うけど? 何?」
慶子はそのおじさんの顔をまた、見つめた。顔は普通で、全体的には風采の上がらない中年のおじさんという表現が客観的だろう、という慶子の見立てだ。
慶子は瞬時にさえない男の分析をして、そのおじさんにはとりあえず、会釈してから、目を逸らし、カウンターに近い、声を掛けてくれた女性職員に笑顔で第一声を発した。
「大変、恐縮ですが、わたくし、今日から配属になりました小山内慶子と申します」
女性職員が大きくうなずき、合点した笑顔になり、奥の方に上半身だけを向けた。すると、先程から慶子を見つめていたおじさんが声を発した。
「あっ、やはり、小山内さんでしたか、式が終わる時間なので、なんとなく、そろそろ、来る頃だし、もしかして、そうかなあ? って思っていました。係長の今田です」
おじさんはそう言いながら、すばやく席を立って慶子に向かって近づいてきた。窓口の女性職員には仕事を続けてて、と言う。
「まず、会議室で説明をしましょう。僕に付いて来てください」
と言うなり、今田係長が廊下に出てきた。慶子はおじさんの不審な行動の理由が分かった。慶子が来る頃を見計らい注意を払っていた、ということだ。何もせず、ボーとしていたわけではない、しっかり仕事をしていた。
「ふぅー、危うくドライアイになるところだったぁー」
心中で大きなため息を付いた慶子は改めてフロアー全体を見回した。これだけ、大勢の職員がいるわけだし、中には働かない人もいるのだろうか、と思った。
「えぇぇっ? この人、机の向きが違うけど? 何?」
慶子はそのおじさんの顔をまた、見つめた。顔は普通で、全体的には風采の上がらない中年のおじさんという表現が客観的だろう、という慶子の見立てだ。
慶子は瞬時にさえない男の分析をして、そのおじさんにはとりあえず、会釈してから、目を逸らし、カウンターに近い、声を掛けてくれた女性職員に笑顔で第一声を発した。
「大変、恐縮ですが、わたくし、今日から配属になりました小山内慶子と申します」
女性職員が大きくうなずき、合点した笑顔になり、奥の方に上半身だけを向けた。すると、先程から慶子を見つめていたおじさんが声を発した。
「あっ、やはり、小山内さんでしたか、式が終わる時間なので、なんとなく、そろそろ、来る頃だし、もしかして、そうかなあ? って思っていました。係長の今田です」
おじさんはそう言いながら、すばやく席を立って慶子に向かって近づいてきた。窓口の女性職員には仕事を続けてて、と言う。
「まず、会議室で説明をしましょう。僕に付いて来てください」
と言うなり、今田係長が廊下に出てきた。慶子はおじさんの不審な行動の理由が分かった。慶子が来る頃を見計らい注意を払っていた、ということだ。何もせず、ボーとしていたわけではない、しっかり仕事をしていた。