『トライアングルパートナー』第27章「大和田純子と高橋源三郎」　170ページ

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トライアングルパートナー

第27章大和田純子と高橋源三郎

　高橋はくぐもったうめくような声にならない声を上げていた。即座に、彼女が握っていた手を離した。高橋はその場に膝を折って座り込んでしまった。絶頂感を感じた体が体を支えることを放棄した。全く動けなくなった高橋は廊下に横たわていた。高橋を見下ろすように見ていた潤子は、膝を着いて座った。高橋のズボンのベルトを外し、ズボンを引っ張りおろした。ブリーフも引きずり下ろした。彼の股間のものが現れた。脱力したであろう彼のものがまだ起立していた。潤子は高橋のものを持っていたハンカチで拭った。高橋はぼんやりとその様子を見ていた。彼女は拭き終えると、元の状態にズボンを整えると、立ち上がった。手にしていたハンカチはきれいに畳んでハンドバッグにしまった。
「これはあなたとわたしの初体験の記念です」
　そう言った彼女は高橋に向かって深く礼をして去っていった。たった数分の出来事で夢のような映像だけが静寂の中でいつまでも脳内に残っていた。彼女のうつろな瞳、彼女の手の感触が高橋の脳裏に焼き付き、両手に彼女の優しい力の感触を感じた。
　来年、彼女は必ず来ると確信した。彼女なら実現する。そう思いながら高橋は右手を見つめ、彼女の手の感触を思い出した。高橋は彼女の妖艶な力を手で感じるようにされていた。

　　*

　23区は特別区と言って、一斉に試験が行われ、成績順に合格者名簿に搭載される。上位の受験生は希望の区の面接を受けて、採用されていく。人気のある区は、合格者名簿の高順位でも、競争率が高くなる。大抵、第3希望まで書いくおけば、成績が良ければ、どこかの区には採用される仕組みになっている。