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　今田純子、植木花山、今田進一、小山内慶子が今田邸に集まった。この４人は食事会と称してかつてはそろって集まり楽しく会食していた。
　しかし、慎之介と慶子が大接近し、慎之介の持つ天使見習い崩れの微弱なパワーが周辺に広がり、周囲の人間関係が変わり始めた。
　夜の人格･潤子は昼の人格･純子と統合したことにより、自分の性癖を満たすためパートナーとは言え隷属させていた進一を自由にする決心をした。
　昼の人格･純子は夜の人格･純子の夜の行動を聞かされていなかったので、進一とは運命を感じる恋愛から結婚し、公務員としてつましい夫婦生活を送っていたものと思っていた。それが、人格の統合によって夜の人格･潤子の奇行が昼の人格･純子に共有されたことにより進一の顔を正視できなくなっていた。そのため、気まずくなった進一は慶子のマンションで同棲していた。しかし、進一は、家の中で、すっかり人格が統合された純子を見て、以前と変わらず楽しく生活しているように見えた。
　以前の夕食会のようであったなら慶子の手料理が食卓の上に並んでいたのであるが、きょうの食卓の上には何も置かれていなかった。みな押し黙っていた。
　純子がキッチンに立ちながら食卓に座った3人に声を掛けた。
「みなさん、ほんと、久しぶりに集まれてうれしいわ。１ヶ月ぶりかしら……　以前だったら、打ち解けたザックバランの雑談をしながら慶子さんの手料理を味わう時間だったけれど……　わたしたちのこれからの関係をきちんとしておいたほうがいいと思って集まっていただいたの」
　純子がお茶の用意する手を休めて言うと慶子が応えた。
「私もこのまま生活を続けていても落ち着かないのでこの集まりを待っていました。実は、父からいろいろ将来のことについて急かされて困っています……　このままでいると、お見合いをさせられることになりそうなので……」
　慶子の言葉に純子が同意するように言う。