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トライアングルパートナー

第10章 転落から悟りへ

 ゴッドゲームあおい町店・店長佐々木慎之介は、神器・ヒトメボレが並べられているショーケースのガラスをクロスを使って丁寧に拭いていた。天使見習いの修業時代、彼が女神様から与えられた使命は、人間の恋の仲介をすることだった。はるか昔、歴代のキューピッドは神様から恋の仲介をするために必要な弓と矢を渡された。彼らは、人類の人口が少なくて、個別対応で相思相愛ながら一歩を踏み出せない男女の背中を押してきた。神の使いとは言え、神様の特命を受けたえりすぐりの精鋭たちの黄金時代があり、悩んだ人間は神にすがり助けられた。縁結びの神も降臨し、家内円満の神も降臨し、幸福な人間を一人でも多く増やすため、神々が丁寧に人類に寄り添った。
 しかし、人間界の人口の増加がすすみ、産業革命という技術革新が神の存在を少しずつかすませていった。ハイテクアイテムに頼った人類は神の存在を徐々にないがしろにし始めた。人類に寄り添っていた神は天界に戻り始めた。神の崩壊が始まった。神の存在を忘れた人類は、人間界に新しい神を見いだそうとしていた。
 8ピッドは過去の神々の誕生からの歴史を精査し、やっと現代に至った。その結果、彼は現代にふさわしい新しい神器の必要性を感じた。神と人類の新しい関係である。
 8ピッドは、はるか昔の修業時代を思い出す。女神に呼ばれた日を思い起こしていた。
「8ピッドよ、あなただけに特命を与えます。すべての人類にあらゆるたくさんの愛を与えるのです。たくさんの人を愛するように、あなたはその助けをするのです。一刻の猶予もありません。急ぐのです」
 女神はそれだけを言うと、即刻、人間界に降臨するよう指示した。彼は特命を実行しようと、命令を具体化するための神器の使い方を考えた。彼は人間界へ通じる「思考の階段」を使い、考えながら降りた。彼は、弓と矢で特命を遂行することができるか、疑問を感じていた。

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