ナカまで愛でてトロトロに溶かして
第8章 【栄光の座】
明日にはランキングがひっくり返ってるかも知れません。なので、今後もより一層新しいTL漫画を書き続けていきたいと思います。最後に、私をこの場に立たせてくれた読者の皆さまと関係者各位に心より感謝致します、ありがとうございました」
深く頭を下げ壇上を後にした。
コメント中は当たり前だけどシーンとしていて声が上擦っちゃう。
噛まずに言えたのがせめてもの救い。
いいねポーズで離れた場所から称えてくれた鍵山さんに安堵の笑みをこぼす。
「口から心臓が出そう…なんて経験初めてだったわ」
「格好良かったわよ、アキちゃん」
「えっ!?柊先生!?」
授賞式に駆けつけてくれた私の師匠、柊ミコト先生の姿を見てまた涙ぐんでしまう。
別件の仕事で出向いたそうだが声を掛けて頂いてようやく自覚してきた。
私………最高の賞に輝いたんだ。
いつかは、と思って目指していた場所に立てたんだよね。
花束を控室に置きに戻った瞬間、ノックされて記者からの取材に応じる形となった。
後から遅れて鍵山さんも加わり、インタビューに答える。
予め頂いていた台本通りの質問に自分なりに答えていく。
「いや、何か話し方も知的ですね、漫画家さんでは勿体ないような美貌をお持ちですし、今後メディアにどんどん出て活躍される事を願ってます」
「ありがとうございます、漫画はもう人生の一部なので切り離せないですね、頑張ります」
「では、これで取材を終わらせて頂きます、ありがとうございました」
「ありがとうございました」
「で、ここからはプライベートな事なんですが少々お時間良いですか?」
記者にそう言われ、鍵山さんとチラッと目が合う。
「何でしょう?」ってすかさず聞いてくれた。
そしたら4〜5人居た記者とスタッフさんがサイン色紙を持ってきた。
普通にお受けして快くサインを書いたけど、もう少し練習するべきだったか。
急過ぎて頭が追いつかない。
「写真も良いですか?SNSとかも大丈夫ですか?」
顔バレした事だし鍵山さんも渋々といった感じだったから笑顔で快諾した。
これを機にSNSも開設したら瞬く間にフォロワーが増えていった。