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第1章 0

彼は私にオネダリさせたがっているのだろう。

イキたいからもっとください、と。私は、涙目で彼の耳元で囁くように呟いた。

「い。イかせてくださいっ……!」

淫乱ではしたないお願い事、彼は私の言葉は予想通りだったらしく、苦笑い。

「これから、お出かけするんだよ? 腰砕けで行ける? 」

そんな彼の言葉にウッとなる私、絶頂を迎えるとしばらく動けない。

「少し我慢して、お家帰ったらイかせてあげるよ? 」

彼の囁きに私は首を縦に振るしかなかった。

いい子だね、と頭を撫でて彼は私の身体の泡を落としてくれる。

そのまま、浴室から出てタオルでお互いの身体を拭きながら、また、口付けを交わす。

頭を撫でられながら口内を犯され尽くす。洋服を着なきゃいけないのに……。

「んっ、ぼんさん……着替えなきゃ……」

キスの息継ぎの合間にそう言うと彼は、もう少し、というと、また、唇を塞ぐ。

唾液を流し込まれて、喉を鳴らして飲み込んで。

「ももちゃんの唾液もちょうだい? 」

彼にそう言われ、私も彼の口内に唾液を流し込む。彼は嬉しそうに飲み込むと、額に口付けを落とす。

「美味しかった」

そう言われて、私の体はまた、火照る。

「着替えようか」

彼にそう言われて、洋服を身につける。

そして、考えるのは今夜の宿……。

「あ、ももちゃん、親御さんには言わなくていいの? 」

現実に引き戻されたような感覚になり、目を伏せる。彼は素直に私のことを心配してくれているのだろう。

私は首を横に振り、出来るだけ明るく言い切った。

「あの、家出……してきたんです……」

私の言葉に数秒の理解を要してるように彼の顔がぽかんとなっていた。

「え?」

出てきたのは戸惑いの言葉。そりゃ、そうだろう。

ただ、遊びに来たと思っていた彼に対して言う言葉ではない。

「ご、ごめんなさい、迷惑はかけないので……」

言い訳をしようとする私に彼は静かに抱きしめてきた。

「逃げられて、偉かったね」

噛み締めるようにそう褒められて。私は息が止まりそうだった。

私の家庭は中々、特殊で、下の妹が障害を患っていて私はある意味放置されていた。

放置されてるだけならいいのだが、過保護、過干渉なところも有るので、変なところで構われる。

それが辛くて、痛くて。

逃げ出そうと決意した18の夜。




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