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第1章 0

荒い息を吐きながら彼はゆっくりと引き抜き、それを処理する。

私は気だるさが残り、身体が上手く動かせないでいた。

時刻を見ると、午前5時。長い時間、睦み合っていたのだろう。

彼は生欠伸を噛み殺しながら、私の横に座るとそっと頭を撫でてきた。

大きくて肉厚な彼の手に撫でられて私はトロンとした眠気に襲われる。

「少し、寝ようか。明日は僕も休みだしゆっくりしよ? 」

彼はそう言って笑うと私を抱きしめて眠りについた。

私も彼の寝息を聞きながら夢の中に入り込む。

コクコク、と時計の張りの音共に目が覚めて。

時計の針は丁度、07時を指していた。

彼は未だに夢の中にいるようで。

そっと、唇に触れてみる。この唇でキスをされ、愛撫された。

ゾクリと身体が何かを感じる。形容しがたいそれは、頭のてっぺんから、足先まで駆け巡った。

起こさないようそっと彼から離れ、自分の肌に振れてみる。

首筋、鎖骨、乳房、腹部、恥骨、そこから、焦らすように内ももに指を這わした。

でも、彼に触れられてるような満足感とは程遠く。これじゃないと頭で理解してしまう。

「凡……さん……」

小声で彼の名前を口にする。目を閉じて彼の言葉を頭の中で再生しようとした。

名前を呼ばれ、甘い言葉を囁かれる。狂ったように責められて、甘い悲鳴を上げさせられる。

淫核が疼き、彼の指を、舌を求めて。膣口から愛液が零れ落ちる。それを掬い、ぬるぬると淫核に塗りつけて。

目の前の彼をオカズに1人でしてしまう私を見られたくなくて、必死で声を抑える。

息継ぎの吐息でさえ、彼の安眠を邪魔してしまうのではないかと思うくらいに騒がしくて。

乱暴に淫核を捏ねながら、心の中で彼の名前を叫び続けた。

甘い刺激とともに絶頂感を覚えてしまう。

果てた、と同時に、身体から力が抜けて。

淫猥な香りが漂わないことだけを祈りながら私は後処理もできずに、そのまま、気だるさと眠気に身を任せた。

甘い感覚の後に見た夢は幼少期の嫌な夢で。

家を出たことを咎めるように、私を怒る両親の姿。

諦めと絶望が頭を過って助けを求めようにも大人たちは見て見ぬふり。

滑稽で私にとって恐怖でしかない夢は茶番劇のように進む。

私が全て悪いと認めるまで悪夢は続く。

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

うわ言のように繰り返す。


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