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能里子見聞録

第3章 高校の想い出

 さて、ここから、能里男くんの体験談ね。

「オレはバスに全く不慣れだったんだ。乗り込んだら、どんどん押されてさ、あっと言う間に後ろの方まで流されちまった。バスもさ、もっとその時間帯だけ増やしゃあ良いんだよ。そうすりゃ、ここまで混まないだろう?

 バスが発車する頃には、何とか治まったけど、オレは吊革につかまれなかった。鞄を持っていることも出来ず、少し開いた足元に置いたよ。他の連中も男女問わずそうしていたからな。で、バスが発車したんだけど、あんなに揺れるものなのか? 女子どもは『きゃあ!』とか悲鳴を上げていたが、毎日の事なんだろ? じゃあ、毎日悲鳴を上げているのか? バカなのか?」

 体験談の前に、能里男くんの怒り爆発ね。でも、朝通のバスは確かに混み混みでうるさかったわね。

「足を踏ん張って立っていたら、オレの前に立っていた女子がさ、揺れた拍子にぶつかってきやがったんだ。でっかい尻をさ、オレのあそこにぶち当てやがってさ。それでいて、ごめんなさいもありゃしねぇ。しかも、ぶち当てたまんま、動かねぇんだ」

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