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男性警察官に、誓約書にサインをお願いされ緊張を隠せない彩だが、指示に従い誓約書にサインをした。

男性警察官はその誓約書を確認すると、先程彩を案内した担当の女性警察官に渡し、話を始めた。

「昨今、警視庁管内での事件で、多発しているが、検挙率が極めて低いのが性犯罪である。とりわけ、電車内での痴漢行為については証拠を抑えるのが困難であると共に、誤認逮捕も少なからずあり、非常に困難な事件の一つになっている。痴漢行為を動画に撮って売買する組織犯罪も増えている。こういった現状を打開するために、確実に証拠を押さえる手段として、上層部で決定したのがオトリ捜査だ！そこでお願いしたいのは、もし君に適性があったとしたら、オトリ捜査に協力してほしいという事なんだが……いかがかな？」

彩は、その話を聞いて、暫く言葉が出なかった。展開が突然すぎて、今まで全く考えたことのないような話を、この人は、私に対して言っている。全くの他人事ではなく、これは、私の事なのだ。

彩がなにも話さず何分か時間が過ぎた。そしてやっと口を開いた。

「私に痴漢のオトリになれと……。」