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艶的日本昔話

第2章 一寸法師

 お椀の舟を箸の櫂で漕いで一寸法師が京の都へとやってきた。

 蜂に襲われて難儀していた姫とお付きの女房を、得意の針の剣で退治したのが縁で、姫の屋敷に召し抱えられる事となった。

 姿形の小ささが姫の歓心を買い、また、剣の腕前もなかなかのものだったので、姫の身辺警護を任されるようになった。

 一寸法師は昼と言わず夜と言わずいつも姫と共にいた。

 そのような日々が続けば、一寸法師の心にむくむくと好からぬ想いが湧き上がって来る。

 姫は人形のようなつもりでいるが、一寸法師は一人前の青年男子なのだ。

 そんなある夜の事だった。

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