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墓守は眠らない

第1章 三日月の章

 そんな鈴音の姿を見て、虎太郎の心に灯がともる。
 鈴音は命の恩人だ。鈴音が戻ってきてくれなかったら、自分は死んでいた。そして「命を粗末にするな」と自分のために涙まで流してくれた。


 鈴音を守らなければ。
 ──いや、守るんだ。


 だけど真言で祓うこともできないなら、どうすればいい? 自分はだめでも、父親なら祓えるのか?


「おお~、キラキラして楽しいのじゃ」


 緊迫している状況で、おかっぱ頭の少女は呑気に万華鏡を覗いて遊んでいる。


「お前……まるっきり他人事だな」


 そういえばさっき無意識に助けたが、よくよく考えてみればおかっぱ頭の少女は幽霊だ。物理的なダメージはないはず。
 それに思い返せば少女が姿を現してから、あの化け物が現れた。これは偶然か?
 一体、少女は何者なのか?



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