墓守は眠らない
第1章 三日月の章
虎太郎はなぜ連れてきたんだと言わんばかりに、檜山を睨みつける。
「別に檜山くんに頼んだわけじゃないわ。この地を平気で穢す者が許せないだけよ」
「わかった。でも何かあっても、面倒は見ないからな」
「ふふ、私を誰だと思ってるの?」
「……」
自信満々に言い放つ鈴音を見て、かわいくねーなと虎太郎は思った。
鈴音は神社の娘だ。毎日修行をしているらしく、週末に行われる夏祭りでは舞を踊るそうだ。その舞の姿がまさに神がかっていて綺麗だと有名で、そのおかげで鈴音は学校ではマドンナ的存在だった。
一方自分は寺の息子だけど、修行はやったりやらなかったりで、将来跡を継ぐ気なんて全然ないし、むしろ普通の人生を歩みたいと思ってる。だから尚更この女には近づきたくなかったのに、まさかこんなところに食いついてくるとは……。
「杜若さん、頼もしい~! 何かあったら杜若さんに守ってもらお~!」
「テメーはケツの穴でも掘られろ」
虎太郎は檜山を無視して、敷地内の墓地へと足を踏み入れた。
「おい、懐中電灯……」
「私はあっちから見て行くね」
振り返ると、真っ暗な墓地の中を鈴音は臆することなく歩み進んでいく。その姿を見て、虎太郎は渡そうと思っていた懐中電灯をポケットにしまった。
「別に檜山くんに頼んだわけじゃないわ。この地を平気で穢す者が許せないだけよ」
「わかった。でも何かあっても、面倒は見ないからな」
「ふふ、私を誰だと思ってるの?」
「……」
自信満々に言い放つ鈴音を見て、かわいくねーなと虎太郎は思った。
鈴音は神社の娘だ。毎日修行をしているらしく、週末に行われる夏祭りでは舞を踊るそうだ。その舞の姿がまさに神がかっていて綺麗だと有名で、そのおかげで鈴音は学校ではマドンナ的存在だった。
一方自分は寺の息子だけど、修行はやったりやらなかったりで、将来跡を継ぐ気なんて全然ないし、むしろ普通の人生を歩みたいと思ってる。だから尚更この女には近づきたくなかったのに、まさかこんなところに食いついてくるとは……。
「杜若さん、頼もしい~! 何かあったら杜若さんに守ってもらお~!」
「テメーはケツの穴でも掘られろ」
虎太郎は檜山を無視して、敷地内の墓地へと足を踏み入れた。
「おい、懐中電灯……」
「私はあっちから見て行くね」
振り返ると、真っ暗な墓地の中を鈴音は臆することなく歩み進んでいく。その姿を見て、虎太郎は渡そうと思っていた懐中電灯をポケットにしまった。