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墓守は眠らない

第1章 三日月の章

 音のする方へ走るが、やはり人影は見当たらない。自分の足音に気づかれたとしても、気配くらいは感じるはずだ。


「……くそっ……」


 音に追い付いたと思ったら、次はまた違う場所から音がする。まるで、こっちの動きを把握していて、おちょくられているみたいだ。


 グループでの犯行か?
 いや──その前に墓荒らしは人間なのだろうか?


 虎太郎の背中に悪寒が走る。
 ゴクリと唾を飲み込むと、背後に何かの気配を感じた。


「おぬし、さっきから何をしてるのじゃ?」

「!?」


 振り返ると、おかっぱ頭の少女がいた。
 鈴音もいる。


「なん……だよ、お前かよっ……」


 どうやら音を追いかけているうちに、鈴音たちと合流してしまったようだ。


「わらわは『お前』ではないぞよ、わらわは──」

「ねえっ、もしかしてあれかな!?」


 鈴音が木の下に落ちている万華鏡らしきものを指差した。


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