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墓守は眠らない

第1章 三日月の章

「おおっ、そんなところにあったのじゃな」


 おかっぱ頭の少女が嬉しそうに万華鏡を取りに行く。瞬間、虎太郎の全身が総毛立った。


「だめだ、逃げろっ!!」


 口が勝手に動いていた。
 同時に身体も動き、気づいた時には墓石に身体を打ち付けられていた。


「霧島くんっ!!」


 鈴音の声で我に返る。
 背中に鋭い痛みが走り、苦痛で顔が歪んだ。


(今、何が起きた!?)


 数分前の記憶を思い出す。


(ああ──そうだ。俺はあの子を守ろうとして、何かに吹っ飛ばされて……)


 目の前には、万華鏡を手にしたおかっぱ頭の少女が立っていた。そしてその背後には、二メートルほどの巨大な黒い塊があった。


「……っ」


 あまりにもおぞましい姿に言葉を失う。
 黒い塊からは人間の手足が何本も生え、ギョロッとした目玉が無数についていた。



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