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墓守は眠らない

第1章 三日月の章

「おぬし、なぜわらわを助けたのじゃ?」

「……わ、わかんねーよ……身体が勝手に……。いや、今はそんなこと話してる場合じゃないだろっ……」


 早くこの場から逃げないと、今度は確実に殺られる。しかし足が震えて動かない。


「なに、あれ……私、あんなの見たことないっ……」

「鈴音、走れ! 今すぐ墓地から出ろ!」

「……霧島くんっ……」


 青ざめて身体を硬直させる鈴音を奮い立たせるために、虎太郎は腹の底から叫ぶ。


「くそっ、しっかりしろ、俺!」


 そして震える自分の足をガンガン叩いた。


「霧島くんっ……」

「行け、鈴音! 早く!」


 鈴音のあんなに自信満々だった表情は消えていた。泣きそうな顔で頷くと、出口へ向かって走り出す。
 が、黒い塊がその後を追おうとした。


「……させるかよっ! ノウマクサマンダ、バザラダンカン!」


 虎太郎は両手を使って印を結び、真言を唱えた。


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