デーモンハント
第3章 契約
血の臭いが厨房内に広がり、エルザは呆然とする。
「あ……え?」
目の前の光景に、エルザは声を漏らす。
叫ぶことも、何か言葉を溢すことも出来なかった。
「お嬢さん、ここにいましたか」
エルザの真後ろから声がして、震えながらエルザは振り向く。
そこには今日来た赤いコートの男が立っていた。
そして男はエルザの首を掴み、持ち上げる。
「あっ……!ぐっ!」
苦しさからエルザがもがくが、男の手は微動だにしない。
「ご安心を、今は殺しませんから」
男の言葉が聞こえ、エルザの意識はそこで途切れた。
暫くして、エルザが目を覚ましたのは、硬いベッドの上だった。
体を起こしたエルザは、自分が裸にされている事に気付く。
そして片腕には手枷がついていて、石の壁に固定されている。
「な、何よこれ」
混乱してエルザは呟き、必死に手枷を外そうとするが、取れそうな気配は無い。
何か、使える物があればと思い、部屋を見回すと、鉄格子が見えた。
この時、やっとエルザは気付く。
自分が、牢屋に閉じ込められていることに。
「どうなっているの……?」
呟き、エルザは記憶を探る。
すると頭の中に両親の無惨な姿が蘇り、エルザの目から涙が溢れた。
「うっ……!パパ、ママ!」
嗚咽を漏らし、エルザは体を丸める。
恐怖を感じ、泣くことしか出来なかった。
「お目覚めですかー?」
そんな声がして、エルザははっと顔を上げる。
どうやら隣の牢屋の方から声がしたらしい。
聞こえて来た声は、若い男のものだろう。
「だ、誰?」
怯えながらエルザが聞くと、隣から「ははっ」と笑い声が聞こえた。
「泥棒です、この城の貴重品を盗んだ罪で捕まりました」
全く悲壮感の無い、おっとりとした口調で男は答える。
「おっと、誰か来たみたいです」
男が言った後、遠くから足音が近付いて来た。
そして足音の主はエルザの牢屋の前に立ち止まると、鉄格子に手を掛けてエルザを覗く。
足音の主は、あの赤いコートの男だった。
「あ……え?」
目の前の光景に、エルザは声を漏らす。
叫ぶことも、何か言葉を溢すことも出来なかった。
「お嬢さん、ここにいましたか」
エルザの真後ろから声がして、震えながらエルザは振り向く。
そこには今日来た赤いコートの男が立っていた。
そして男はエルザの首を掴み、持ち上げる。
「あっ……!ぐっ!」
苦しさからエルザがもがくが、男の手は微動だにしない。
「ご安心を、今は殺しませんから」
男の言葉が聞こえ、エルザの意識はそこで途切れた。
暫くして、エルザが目を覚ましたのは、硬いベッドの上だった。
体を起こしたエルザは、自分が裸にされている事に気付く。
そして片腕には手枷がついていて、石の壁に固定されている。
「な、何よこれ」
混乱してエルザは呟き、必死に手枷を外そうとするが、取れそうな気配は無い。
何か、使える物があればと思い、部屋を見回すと、鉄格子が見えた。
この時、やっとエルザは気付く。
自分が、牢屋に閉じ込められていることに。
「どうなっているの……?」
呟き、エルザは記憶を探る。
すると頭の中に両親の無惨な姿が蘇り、エルザの目から涙が溢れた。
「うっ……!パパ、ママ!」
嗚咽を漏らし、エルザは体を丸める。
恐怖を感じ、泣くことしか出来なかった。
「お目覚めですかー?」
そんな声がして、エルザははっと顔を上げる。
どうやら隣の牢屋の方から声がしたらしい。
聞こえて来た声は、若い男のものだろう。
「だ、誰?」
怯えながらエルザが聞くと、隣から「ははっ」と笑い声が聞こえた。
「泥棒です、この城の貴重品を盗んだ罪で捕まりました」
全く悲壮感の無い、おっとりとした口調で男は答える。
「おっと、誰か来たみたいです」
男が言った後、遠くから足音が近付いて来た。
そして足音の主はエルザの牢屋の前に立ち止まると、鉄格子に手を掛けてエルザを覗く。
足音の主は、あの赤いコートの男だった。