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デーモンハント

第3章 契約

ケイシーはエルザの頭を撫でながら口を開く。

「デーモンハントに所属する以上、泣く事は許されない。だから、今だけ存分に泣け」

まるで小さな子供に言うように、優しい声でケイシーは言う。
それを見ていたソレルは興味深そうに腕を組んでいた。

「ひっぐっ、パパ、ママ、あぁぁぁ!」

エルザは感情のままに、泣いた。
ソレルに見られていることも気にせず、ケイシーの服を強く握って泣きじゃくる。
一度流れ始めた涙は、中々止まらなかった。



ぼんやりと、車の揺れを感じながらエルザは思い出して苦笑する。
全ての始まりは、両親を殺された所から始まった。

「ねぇソレル」

声を掛けると、ソレルは「はい」と返事をする。
エルザは窓の外を見つめたままだ。

「アタシ、ちょっとは強くなったかな?」

呟くように言うと、ソレルは頷いて笑顔になる。

「強くなっていますよ、そりゃあもう、びっくりするくらい」

言って、ソレルは笑う。

「嘘っぽい」

エルザが返すと、ソレルは笑うのをやめてエルザの方をちらりと見た。

「本当ですよ、エルザは強くなりました」
「ソレルの手助けのおかげだけどね」

返してエルザはソレルの方に顔を向けて、にっと笑う。

「有難う、ソレル」

はにかみながらエルザに言われ、ソレルは優しい表情になる。
ソレルは赤信号を見上げて。

「どういたしまして」

と言った。



そして、家に帰ってきたエルザとソレルは、明かりの消えた室内に入る。
シフォンはもう眠っているのだろう、全ての部屋の明かりは消えていた。

エルザはシフォンの眠る部屋を覗くと、シフォンはベッドの上ですやすやと寝息を立てている。
確認したエルザはほっと息をついて、シャワールームに向かう。

「エルザ」

呼び止められ、エルザは止まる。
するとソレルが近付いて来て、エルザの額に軽く口づけをした。

「これからもよろしくお願いしますね、ご主人様」

ソレルはそう言ってから、そっと離れていく。

「こっちこそ、よろしく、ソレル」

小さな声で、エルザは言った。

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