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デーモンハント

第4章 主従

それから数時間後……。
エルザとソレルは廃校の前に到着していた。

不気味な雰囲気を放つ校舎を見上げ、エルザは口に含んだ飴を噛み砕く。

「さ、行くよソレル」

言って、エルザが校舎へと向かう。
ソレルは無言でエルザの後に続いた。

不自然なことに、正面入口のドアは開いている。
一応ここに来る前に、建物の管理をしている人物から入口の鍵を借りていたが、必要は無かった。

エルザは鍵をポケットに突っ込み、校舎内へと足を踏み入れる。
途端に空気が重たく変わり、血の臭いが鼻につく。
エルザは険しい表情になった。

「これは……面倒そうね」

そう呟いたエルザの後ろで、ソレルはくんくんと臭いを嗅ぐ。
そして自分の顎に触りながら、軽く頷いた。

「ホテルの時とは大違いですね、でも、臭いは似ています」

ソレルが言い、エルザはソレルの方に手を伸ばす。

「武器をちょうだい、待てが出来ないワンちゃんがいるみたいだから」

エルザに言われ、ソレルは「はいはい」と返事をして大鎌を呼び出す。
エルザは大鎌を掴み、構えた。

次の瞬間、出入口のドアの前に鉄の柵が現れ、周囲の壁にひびが入る。
ひびから赤い液体が流れ落ちた。

通路は夜の廃校とは思えない程に明るくなり、赤黒く汚れた壁や天井がよく見えるようになる。
その通路の奥から、大きな影が近付いて来た。

それは、狼の頭に、毛で包まれた体の化け物だ。
化け物は唸り、体勢を低くしてエルザを睨む。

「先ずは下っ端ね、インプよりは強そうだわ」

鎌を握り、エルザは身構える。
ソレルは静かにエルザから数歩離れた。

「デーモンハントのハンターだな」

化け物に聞かれ、エルザは頷く。

「そうよ、あんた達を殺しに来たの」

返された化け物は鋭い眼差しをエルザに向け、深く呼吸をする。
そして、地面を蹴り、素早くエルザに向かって来た。
エルザは化け物の爪を鎌で受け止め、そのまま流れるように受け流す。
そして鎌を握り直すと、体勢を崩し、無防備になった化け物の背中に鎌を振り下ろした。

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